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蒼雪庵

いまだに推敲中

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・123

 【ロトの印】

 ルナは落ちこんでいた。
 これまで、どんなことがあっても食事は欠かさなかったのに、その夜は部屋にこもって出てこなかった。
「あとでわしがゆっくり話そう」
 ロラン、ランドと夕食を共にしながら、ロランの父は言った。
 悪魔神官デモニスを討伐したのち、ルナはローレシア城の破壊の跡を見て我に帰り、愕然としたのである。
 ――私、あなたのお城を壊しちゃった……。
 ロランを見て、ルナはまた泣き出しそうになった。
 デモニスを結界牢から解放した直後、デモニスが放った爆裂呪文イオナズンは、ローレシア城の東壁三分の二を吹き飛ばしていた。魔物を封じ込めていたため、人を置かずにいたのが幸いだった。
 だが、ルナはそれを自分のせいだと責めた。
 ――私が言い出さなかったら、こんなことにはならなかったのに。どうして浅はかなんだろう。
 ムーンペタでの出来事も、落ち込みに拍車を掛けていた。自分の背負うものと向き合い、決着をつけたいという思いは間違っていなかった。しかし、魔物はその決意に乗じて破壊をもたらしたのである。
 ロラン達は、ルナが悪いわけじゃない、一番悪いのは魔物だと慰めたが、原因を作ったのは自分なのだからと、暗い表情で部屋に閉じこもってしまったのだった。
「もうすぐ冬が来るのに、あんなに大きな穴を作ってしまったと、まだ落ちこんでいます」
 王がルナの様子を尋ねると、ロランはそう答えた。王は苦笑した。
「責任感の強いルナらしい。だが、城や城下の者達も、あの魔物がいなくなって安堵している。我々ですら倒せなかった強力な敵を、ずっと地下に封じておったのだからな。心中穏やかでなかったはずだ。
 結界が破られることがあったら、こちらが危なかった。誰も被害が出ず、城壁だけで済んだことは幸運だ。ロラン、ランド王子。よくあの魔物を倒してくれた」
「えへへ……」
 褒められて、ランドが照れくさげに笑う。王は、優しく二人の王子を見た。
「そなた達は、まだ16歳だ。勢いこんで、失敗することもあろう。ルナも、まだ若い身で人並み以上の試練を受け続けてきたのだ。むしろこの経験が、将来に生きてくるであろう」
「はい」
 ロランはうなずく。王は感慨深く息子の目を見た。
「しかし、本当に強くなったな。お前が戦っているところを初めて見たが、いつも、ああやって死闘を繰り広げておるのだな」
「ランドとルナのおかげです」
 ロランは少し頬を赤らめた。
「二人がいてくれなかったら、ずっと前に死んでいた。僕一人の旅じゃなくて、本当によかったと思っています。いつも」
「そうか」
 王は目を細めた。ランドも、深いまなざしでロランの横顔を見つめていた。