蒼雪庵

いまだに推敲中

DQⅡ自作小説

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・76

店内はこぎれいに片付いていて、壁際に見本が置いてあった。 魔道士の杖、鉄兜は見慣れているが、竜の角の装飾が豪華な手甲に鋭い刃が付いたドラゴンキラー、青みがかった銀色が美しい魔法の鎧、そして金の縁の中心に、魔法の鎧と同じ金属が扱われた壮麗な円…

あとがき 

諸君、よくぞここまでたどり着いた。 私は王の中の王、竜王のひまごである。 この作品の最終章で蒼雪が構成上私のエピソードを入れられなかったため、急遽あとがきに抜擢されたのだ。愚かな奴だが、まあよい。 私の語りで読めることを光栄に思うがよい。 あ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・204 ~完

【ムーンブルクの王女の手紙】 私達と心を共にする、親愛なる皆さんへ。 ロランとランドがアレフガルドで消息を絶ってから、3年がたちました。 魔物は、森や草原に棲む動物と同じで、いなくなりはしません。邪教団が消滅してから、活性化していた魔物の活動…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・203

【サマルトリアの王子の手紙】 父上。かわいい妹アリシアへ。 こんな形でお別れを言う日が来るとは思いませんでした。 ごめんね。でも、ぼくは行きます。ロランは今ひとりぼっちです。誰かがそばにいてあげなくちゃいけない。 それはぼくの役割ではないかも…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・202

【ローレシアの王子の手紙】 このような形で、愛する父上や皆に別れを伝えることを、とても心苦しく思います。 ローレシア王家第4代目継承者である、ロラン・ロト・ローレシアは、この身分を返上し、ただひとりの旅人として、この国を去る決意です。 今まで…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・201

【ムーンブルクの王女の手記】 ここまで読んでくださった方が、もしいるとしたら……あなたは私達と共に、長い戦いの旅を乗り越えてきたのでしょう。そのことにまず、お礼を申し上げます。 私達と心を共にするあなたへ。私、ムーンブルク王家最後の継承者、ル…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・200

最終章 【勇者達の凱旋】 天意の祠にあった旅の扉は、ベラヌール法王庁の執務室にある旅の扉と直結していた。ロラン達が出現すると、法王ハミルトをはじめ、多くの神官や僧侶、異端審問官達までも盛大に拍手したので驚いた。「いましがた、暗黒に包まれてい…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・199

(終わった……) ロランは頭から落下した。もう指一本動かせない。 「ロラン!」 力を振り絞ってランドがロランへ駆け寄った。肩から地面に落ちたロランを抱き起し、べホイミをかける。 「大丈夫?! どこも痛くない?」 「ああ、もうだめかと思ったけど……う…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・198

雷鳴がとどろいていた。大蛇のような稲妻が周囲を駆け巡っている。「――っ!」 ロランは、拳で床を打った。「勝てないのか、どうやっても!」 拳を床に置いたまま、ロランは顔を上げなかった。ランドも沈痛にうつむいている。(本当に、本当にそうなの……?) …

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・197

【破壊神】 これが神だというのか。ロラン達は慄然としてそれを見上げた。 頭部に長く伸びた二本の白い角。顔の両脇には鰭(ひれ)が生え、鼻はなく、牙が生えそろった巨大な口はこめかみまで裂けている。 4本の腕は三本の鉤爪で虚空をつかみ、宙を泳ぐ足も…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・196

【ハーゴン】 広大な青白い結界に守られた薄暗い聖堂に、低い祝詞が響いていた。 巨大な邪神の像の足元には、なみなみと生き血を湛えた溝があった。邪神官ハーゴンはその前にひざまずき、一心に祈っていた。「……誰だ。我が祈りを邪魔する者は」 ロラン達が背…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・195

【ベリアル】 双塔を支える5階の階段は、左の塔につながっていた。終わりがないのではと思うほど長い階段を上りつめると、屋上に出た。正十字形になった頂上部の右――ロラン達から見れば正面から、床材を並べた細い橋が渡っている。橋には手すりがなかった。…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・194

【バズズ】「よぉおおこそ」 嫌らしい笑みを満面に、紫色の猿魔が迎え出た。 悪霊の神々の一柱――狡猾の主、バズズである。 5階は、左右に壁と柱が断続的に並ぶ吹き抜けの回廊だった。バズズの背後に、双塔へつながる階段室が見える。 風が出始めていた。ま…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・193

刃はアトラスの足の甲を割った。鮮血が噴き、ロランの顔と胸元に飛び散る。アトラスが吼え、傷つけられた足を振り上げた。「くうっ!」 剣を手放すわけにはいかない。柄を握ったロランは乱暴に振り回された。稲妻の形をした刃はアトラスの肉に食いこみ、どん…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・192

【アトラス】 教壇の奥には、上階へ通じると思われる巨大な部屋があった。しかし、教壇の真後ろから部屋の外周にかけて、強力な結界が青白い光を放っている。部屋の内部は堅牢な壁に囲まれていて、見ることはできない。 ランドがトラマナの呪文をかけ、結界…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・191

「我が幻術が破られたか……」 幾千の蛇身が融合してできた十字架の前で、邪神官ハーゴンはつぶやいた。聖堂に据えられたかがり火が微かに揺らめいている。合わせて揺れるハーゴンの影よりもっと暗い影が、後ろに三体控えていた。 アトラス、バズズ、ベリアル…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・190

精霊ルビスの名を胸で唱えると、どこからともなく声が聞こえた。 ――ロランよ。今あなたが見ているのは、ハーゴンが作ったまやかしです。惑わされてはなりません。さあ、心の目を開き、すべてを見るのです……! ロランの目の前が真っ白な光に覆われていく。潮…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・189

「おお、ここにおられましたか、ロラン王子!」 若き近衛兵長のシルクスがロランを見つけて足早にやってきた。見知った顔にほっとして、ロランはシルクスに問いかけた。「シルクス、僕はどうやってここに来たんだ?」 シルクスは端正な顔をきょとんとさせた…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・188

第5章 悪霊の神々【やすらぎの城】 ハーゴンの神殿を目指して、ロラン達は雪に覆われた大森林を西へ歩いた。 道すがら、ルナがロランとランドに話した。元はベラヌールで大神官の地位に上りつめたハーゴンが、いかに邪神官になり、邪教を広めていったかを。…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・187

【手をつないで】(真っ暗だ……) ぼんやりとロランは暗闇にたゆたっていた。 胸の重苦しさは消え、 とても安らいでいた。自分へ向けた怒りや憎しみは、遠い過去のものとして胸に納まっている。 ずっと握りしめていた骨の感触がない。無数の人骨で作られた呪…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・186

「ロラン、立てる?」 ランドがアークデーモンと渡り合っている間に、ルナがロランを助け起こそうとした。ロランは弱くかぶりを振った。「力が入らないんだ……。動けない」「剣の呪いのせいね。待ってて。今、薬を……」 ルナの背後で断末魔が響く。ランドが剣…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・185

「――いい声だ」 嗤いを含む、くぐもった声がした。ロランは弾かれたように顔を上げ、その場に身構える。 めきめきと灌木や木々を薙ぎ倒しながら、紫色の牛頭の悪魔がこちらへ歩んできた。アークデーモンである。「これは美味そうな子どもだ。……泣いている子…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・184

「――いい声だ」 嗤いを含む、くぐもった声がした。ロランは弾かれたように顔を上げ、その場に身構える。 めきめきと灌木や木々を薙ぎ倒しながら、紫色の牛頭の悪魔がこちらへ歩んできた。アークデーモンである。「これは美味そうな子どもだ。……泣いている子…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・183

【想う心は】 「……ロラン」 ランドは両手で顔を覆っていた。「そんな……ぼくのせいで、呪われてしまっただなんて」 卓を挟んで向かいに座る娘も、沈痛に目を伏せた。「ごめんよ、ロラン、ごめん……」 ランドはすすり泣いた。娘は席を立ち、ランドの側に立つと…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・182

「よくぞ来た、ルナよ。わしはそなたらをずっと待っておった」 祠の中央は聖堂となっている。祭壇の前に、初老のたくましい男が立っていた。金と緑、赤を組み合わせた神官の服を着ている。「ロランとランドに会わせてください。一緒に連れて来たんでしょう?…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・181

温かいスープの香りがした。ルナはぼんやりと天井を見上げる。 ふかふかのベッドに寝ていた。白い石でできた天井には、色とりどりの花の絵が描かれている。(私……あの時……)「お目覚めになりましたか」 ふわりと風がなでるような、清楚な声がした。びくりと…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・180

【窮地と叫び】 ロランは、白骨でできた剣を振り上げ、バズズの影へ斬りかかった。3体の悪魔の中では一番小柄で倒しやすそうに見えたからだ。 暗転した空は薄暮の明るさをとどめている。薄闇の中、悪霊の神々の影だけがくっきりと濃かった。 ロランの打ち振…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・179

【無限の花園にて】 見渡す限り、花畑だった。 空は明るい白。 どこかで小鳥がさえずっている。 ランドはぼんやりと卓にかけていた。真っ白な円卓で、金で流れる水と花が縁取ってある。(ここは……) ランドはゆっくりと首を巡らせてあたりを見回した。花畑と…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・178

夜明けになってから、ロランはルナと山を下りた。空は寒々と曇っている。 山といっても、乾いた土と岩、そして凍った雪ばかりの山塊だ。疲労が極まっているルナは、何度も下り道で足を取られていたが、ロランにはほとんど気遣う余裕がなかった。 左手にはロ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・177

日が落ちた。だが、ロランは淡々とした歩みをやめない。空は丸い月が克明に浮き上がっていた。ルナは何度も視界がぼやけ、意識を失いそうになった。でもロランを見失うわけにはいかなかった。気力を振りしぼって歩き続ける。 ランドを抱えたロランは、進む方…