蒼雪庵

いまだに推敲中

第2章

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・76

店内はこぎれいに片付いていて、壁際に見本が置いてあった。 魔道士の杖、鉄兜は見慣れているが、竜の角の装飾が豪華な手甲に鋭い刃が付いたドラゴンキラー、青みがかった銀色が美しい魔法の鎧、そして金の縁の中心に、魔法の鎧と同じ金属が扱われた壮麗な円…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・157

【精霊の祠】 精霊の祠は、紺碧の海にぽつんと浮かんでいた。 真っ白い石材で造られたそれは、ごく小さな島に建てられており、ロラン達の持つ魔法の地図がなければ発見できなかっただろう。それほどの小ささだった。 島は、一つの岩を浮かべたようなこぢんま…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・138

「……」 ルナは苦しげにうつむいた。「魔物が出て来た!」 傍らでランドが悲鳴を上げる。魔界から召喚された魔物の群れは、門が狭いらしく、入り口まぎわでひしめき合っていた。邪悪な産道を広げるべく、地獄の使いの呪詛が大きくなる。 ルナは決然と顔を上げ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・137

地下5階。溶岩の海を抜けた場所にあった階段を下りて、溶岩に囲まれた曲がりくねった長い回廊を渡る。これまでの空間は自然洞を生かした造りだったが、ここは整然と壁や床が平らに整えられていた。「嫌な気配がする……」 すぐ後ろを行くランドがつぶやいた。…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・136

だが、洞窟は予想以上に複雑な構造を成していた。いくつもの分かれ道と広大な空間に点在する下への階段に惑わされ、やっとたどり着いた地下4階には、さらに広い溶岩の海があった。「もし地獄があるんだとしたら……ここかな……」 疲弊した顔で、ランドが溶岩の…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・135

勾配を下るにつれて熱気はひどくなってきた。入り口付近にもうもうと立ちこめていた湯気は程なくして消え、皮膚が剥けそうな熱波に変わる。真っ暗な隧道(ずいどう)の先に、鮮やかな橙色の光が照り返している。「これは……」「溶岩、だね」 降りた先は、灼熱…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・134

【海底洞窟】 氷雪に閉ざされた静寂の地。そこに立つ双塔を揺るがすのは巨獣の咆哮だ。 ハーゴンの神殿の、どことも知れぬ大広間で、赤銅色の巨人アトラスが吠えていた。四肢を壁と床から伸びる棘付きの枷で戒められ、鎖を引きちぎろうと暴れ狂っている。 お…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・133

その日は、羽衣が仕立て直されるまで、村の湖畔を散策しながらのんびりと過ごした。 夕方の刻限にモハメを訪ねると、約束通り、見事なケープに直されていた。丈はルナのふくらはぎまでで、首元に金の留め金をあしらっていた。「あの、お礼を……」「いらん」 …

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・132

【水の羽衣】 月のかけらを手に入れたロラン達は、ルーラでテパの村へと戻った。その晩は宿に一泊して疲れを取り、翌朝、モハメの家を訪ねた。約束の日まで1日余裕があったが、様子だけでも知りたかったのだ。「ごめんください」 家の前で、ロランはそっと…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・131

宝はわざと遠回りさせる――。 以前ランドが言った名言は、この塔にも生きていた。銀の扉に閉ざされた秘密の階段を見つけたロラン達は、そこから1階まで下り、ついに塔の胎内へたどり着いた。「ここか」 ロラン達は扉を見上げた。両開きのそれには、海に浮か…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・130

塔は狭く、階段の数は多かったが、罠や仕掛けはなかった。ただ、現れる魔物の数は多彩で、悪魔神官に似た仮面の魔物・地獄の使いや、翼竜バピラス、ゴールドオークや腐った死体など枚挙にいとまがない。 次々と襲い来る魔物達に、さすがのロラン達も徐々に疲…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・129

【満月の塔】 満月の塔へ入るためには、大陸の川からさかのぼって、塔のある島へ侵入しなければならない。 ロラン達はまず、ルーラでペルポイの町まで行った。その船着き場から大陸沿いに北へ進み、塔へつながる河口から上流へ向かった。そして、およそ5日…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・128

【水門を開く】「引き受けてくれてよかったね。10日は長いけど、羽衣ができる時間にしては、すごく早いよ」 モハメの家を出て、ランドが言った。「そうね。織物って普通、何か月もかかるものだし。それに、待ってる間、私達にはやることがあるからちょうど…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・127

【ドン・モハメ再び】 聖なる織機を携えたロランが古びた戸をたたくと、仏頂面の小柄な老人が無言で現れた。「何の用じゃ」「聖なる織機を持ってきました」 真昼の光を背に、ロランは穏やかに答えた。老人――最後の匠であるドン・モハメは、ロランの背に輝く…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・126

悪魔神官デモニスとの戦いで愛用の鉄の槍を折られたランドは、ローレシア王から光の剣を譲られていた。 光の剣は、人が作り出せる武器の最高峰だ。ペルポイの町にも売られていたが、値段も相まって、所持する者は世界にわずかしかいないだろう。 先の戦いに…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・125

【北のお告げ所】 船は藍色の海を進んでいた。冷たい風を首筋に受け、ランドがううっと肩をすくめる。「本格的に秋だねえ。ロンダルキアも寒い所だっていうし、全員分のコートが要るね。山越えの準備もしなきゃ」「そうだな。どこかで調達しよう」 甲板でラ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・124

「父上」 食事が済むと、ロランは父を呼び止めた。「少し、お話が……」「うむ、わしもそうしたいと思っていたところだ」 目が合うと、父はそう言ってうなずいた。ランドは、気を利かせて客室へ戻っていった。 王の居室にある露台で、ロランは父と共にローレシ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・123

【ロトの印】 ルナは落ちこんでいた。 これまで、どんなことがあっても食事は欠かさなかったのに、その夜は部屋にこもって出てこなかった。「あとでわしがゆっくり話そう」 ロラン、ランドと夕食を共にしながら、ロランの父は言った。 悪魔神官デモニスを討…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・122

「そろそろ往生なさい。憐れなロトの末裔よ!」「あなたに憐れみをかけられるいわれはないわ!」 ルナは魔道士の杖を投げ捨てていた。肩からかけた杖の鞘から、潜ませていた短剣を抜く。刃渡りも合わせて大人の手から肘ほどもあるそれは、邪悪を退ける銀で作…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・121

結界牢は、城の東側にある囚人用の牢獄に設けられていた。 ルナが報告したムーンブルク城襲撃の内容から、悪魔神官が尖兵となって、内側から突き崩す奇襲が常套手段と王は予測した。魔法の無効化もする強力な魔物相手だ。完全勝利できなかった場合、ここに封…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・120

【解放】 鉄格子の前に立った少年達を見て、囚人は暗い顔を上げた。何の期待もしていなかった目が、ロランの持つ牢屋の鍵を見て輝く。「おお……そいつは!」「王の許可は取りました。ここから出られます」 ロランは鍵を錠前に差し込むと左右に回した。ガチャ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・119

ラゴスは、壁の中に作った穴に潜んでいた。脱獄を試みて穴を掘り始めたのだが、岩盤に当たってそれ以上進めなくなってしまったのだと言う。「いやー、ほんと間抜けだよね……。ボクとしたことがさ」 悪びれもせず笑うラゴスに、ルナが小声で怒った。「軽く言わ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・118

【消えたラゴス】 ペルポイ監獄は、町の北東にあった。無機質な四角い建造物は、よもやここまでという大きさで、ロラン達もあっけに取られて建物を見上げた。「すごい立派だね……」「選ばれし民の楽園みたいに言われてるけど、中でリンゴが腐ったのかしら」 …

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・117

【道具屋の謎】 道具屋ドラキーマは、中央通りの裏手にあった。黄色いドラキーが描かれた小さな看板からは、特に怪しさは感じない。ロラン達は、黒みがかった木の扉を開けた。「らっしゃい」 うっそりと答えたのは、カウンターに座る禿頭に黒髭の男だった。…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・116

宿は、ホテル・ペルポイと看板が打ってあった。 上品な照明と調度に彩られた玄関広間に入ると、いらっしゃいませと制服を着た青年が頭を下げた。鷹揚にうなずき、カウンターに向かう3人を見て、逆に青年が驚いた顔をする。「すみません。一泊したいのですが…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・115

【地下都市ぺルポイ】 ルプガナから北北東に進路を取り、ロラン達の船は、ペルポイの町の南にある船着き場に着いた。かつては大きな港町だったが、ペルポイの町が地下に移動してからは、取引先であったこの町も廃れ、今では船着き場としての体裁をようやく整…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・114

【北の岬にて】 ムーンペタの町を出ると、ロラン達はすぐにルプガナへ飛んだ。 ランドのルーラの呪文があると、一瞬で目的地に着くことができる。とても便利な半面、世界が狭く感じられた。何日もかけて目的地まで歩いた旅が懐かしい。 船の旅は、その点でも…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・113

「このたびはお騒がせしました」 アネストの庵で、ロランは申し訳なく頭を下げた。自ら茶を振る舞いながら、賢者は少し意地悪く笑った。「よい。あの奇跡のおかげで、失墜した王家の権威が復活したのじゃからな。これこそ、雨降って地固まる、じゃろう」 サ…

ベビル2匹はロラン達が手強いと知り、標的を群衆に変えた。どうせやられるなら、少しでも多く道連れにしようと考えたのか。やけっぱちのように声高く鳴くと、背中合わせに羽ばたいてあたり一面に炎を吐き散らし、ベギラマを唱えた。たちまち空気が熱せられ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・111

「おい、やめろ!」 真っ先に叫んだのは、民衆の最前列にいたアレックだった。皆に向き直って懸命に呼びかける。「ルナ姫様が、どんな思いで討伐の旅を続けておられるか、考えたことがあるのか! 魔物の力は強大だ。一朝一夕に成し遂げられることではない。…