蒼雪庵

いまだに推敲中

第五部

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・76

店内はこぎれいに片付いていて、壁際に見本が置いてあった。 魔道士の杖、鉄兜は見慣れているが、竜の角の装飾が豪華な手甲に鋭い刃が付いたドラゴンキラー、青みがかった銀色が美しい魔法の鎧、そして金の縁の中心に、魔法の鎧と同じ金属が扱われた壮麗な円…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・84

ロランは宿の庭木の近くに腰を下ろしていた。時折、鼻を鳴らす息遣いが聞こえる。 ――泣いているのだ……。ランドを救えた喜びか、つらい役目をやり遂げた安堵のためか。 ランドの胸が痛んだ。 一度、死を覚悟して別れの言葉を言ったのだ。助かるなどとは思って…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・83

ベラヌールの宿の主人は慈善家でもあったので、ランドの宿泊料を特別に無料にしてくれた。薬師の老人はつきっきりでランドを看ていたが、することはほとんどなかった。 ランドは食事も排泄もせず、こんこんと眠り続けていた。しかしそれは、回復へ向かう眠り…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・82

ロランの猛進撃は止まらない。 何百という数を斬っても疲れを見せず、襲い来る魔物を無数の屍に変える。徐々に魔物の数が薄れ、とてつもなく巨大な樹の根元にロランが走り込むと、翼を持つ、人ほどの大きさの白い尾長猿が陣取っていた。バズズの配下のシルバ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・81

「え?……いや」 ロランがきょとんとすると、ルナは小さく吹き出した。「ひどいわね。私、一生懸命探したのに。……あのね、あなたとランド、衣装部屋のタンスに入って、一緒に寝てたのよ」「えっ」「気持ちよさそうにドレスか何かにくるまって、ぐーすか。私、…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・80

【世界樹】 船は東を目指して進んでいた。ロランは舵取りをカイルに任せ、舳先に立って水平線を見つめていた。 ランドのいない船は静かだった。その場にいるだけで、ランドには場を和ませ、明るくする何かを持っていた。 寂しい。ロランの胸を満たすのは、冷…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・79

「……ロラン」 装備を解き、ベッドに横たえると、ランドがうっすらと目を開けた。ロランは冷えきったランドの額に手を当てて、うなずいてみせる。「ここにいる。さっき、ルナ達が医者を呼びに行ったから。大丈夫だ」「そう……」 血の気のない唇から、あえかな…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・78

「それで、さっそくだけど何かつかめたの?」 ルナが尋ねる。カイルはうなずいた。「はい、わずかですがお役に立てるものもあるかと。一度お城に戻って陛下にご報告を考えておりました矢先、こうして王子様達に出会えたので、幸運でした」 カイルが話したの…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・77

【邪神官の魔手】 夜の航海は静かだ。波も穏やかで、船を揺りかごのようにゆったりと揺らしている。 ロランは薄闇の中、隣のベッドで眠る友を見ていた。背を向けていて、ランドの寝顔はわからない。 このままでいいのか、という気持ちがあった。おそらく体に…