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蒼雪庵

いまだに推敲中

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・196

【ハーゴン】 広大な青白い結界に守られた薄暗い聖堂に、低い祝詞が響いていた。 巨大な邪神の像の足元には、なみなみと生き血を湛えた溝があった。邪神官ハーゴンはその前にひざまずき、一心に祈っていた。「……誰だ。我が祈りを邪魔する者は」 ロラン達が背…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・167

ロランの胸がゆっくりと膨らみ、長く息を吐き出す音を、ルナは緊張して聞いていた。やがてロランのまぶたがわずかに震え、まばたきを繰り返す。「……僕は……」「……ロラン!」 本当に生き返ったのだ。ルナは横たわったままのロランの手を取り、声を殺して泣いた…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・166

ルナはランドの胸の内を探るように見つめてきた。一瞬の疑いは確信に変わり、だが、どこかとがめるような目で。「あなた……使えるのね? 死者を蘇らせるザオリクの呪文を」 ランドは小さくうなずいた。「そう、だから……なのね」 ルナは言いかけ、口に出かけた…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・166

ルナはランドの胸の内を探るように見つめてきた。一瞬の疑いは確信に変わり、だが、どこかとがめるような目で。「あなた……使えるのね? 死者を蘇らせるザオリクの呪文を」 ランドは小さくうなずいた。「そう、だから……なのね」 ルナは言いかけ、口に出かけた…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・165

「ああっ……」 ルナはがくがくと震えていた。最悪の事態が起こっている。だが頭がそれを認めたがらないでいた。 傍らではランドも短い息をしながら震えていた。脂汗が目元を伝う。キラーマシンは倒れたロランを無視し、こちらへ歩み寄ってきた。淡々とこちら…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・164

ドラゴンは竜王の忠実な配下として知られ、ロラン達の先祖が竜王に勝利して以来、地上に姿を見せることはなかった。緑の鱗の竜はもっとも下位とされ、だからこそハーゴンの召喚にも応じたのだろうか。 しかしそれでも、竜族の持つ威圧感は場を圧倒した。4体…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・163

【初めての死】 6階までの道のりは、過酷を極めた。 稲妻の剣があった階層は、そこから下へ降りる階段があるのみだった。降りた先で、剣のあった場所が2階と判明し、ロランが推測したように、やはり地上付近まで落ちてきたのである。 山の中腹から地上へ落…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・66

「それで、私達に助言とは?」 ルナが訊く。「この世界には、森羅万象を司る紋章が散らばっている。太陽、月、星、水、命の五つだ。それは物質ではなく、心に刻むもの。紋章にまつわる試練を乗り越えた者だけが宿すことができる。すべてを心に宿した時、大地…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・65

この世界は、大地の精霊ルビスが創ったものである。しかし、それ以前にこの次元にはもう一つの世界があった。 それが、〈上の世界〉である。 次元とは、同じ時間と空間を意味する。 勇者ロトは、その上の世界から落ちてきた者だという。 アレフガルドは、上…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・64

地下は広く、多くの通路へつながる階段があったが、不思議と迷うことなくロラン達は下へ下へと降りていった。地下6階まで降りると、広大な空間が3人を迎えた。「広い……」 上を見上げてロランは吐息をもらした。暗いせいで遠くの壁や天井が見えない。まるで…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・63

【竜王の島】 逆巻く波に囲まれ、切り立つ岩山が折り重なるようにして、その島はあった。かつて人間の絶望を喰らい、悲しみの涙で喉を潤した大魔王が住まい、勇者ロトがそれを討ち果たしたのち、今度は邪悪なる竜がそこをすみかにした。 人々はその島に名を…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・62

ランドは風に吹かれながら、船尾で船が水を掻くのを眺めていた。(どうしよう……言った方がいいかなぁ。でもなぁ……) 水面を見つめるランドの面持ちは硬かった。(気のせいかもしれないし……)「ここにいたのか」 ロランの声に、ランドははっとして振り向いた…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・61

【悪夢来たりて】 ラダトームから東の船着き場へ戻ったロラン達は、陸沿いに航路を取って北進し、アレフガルドの東側へ回り込んでいた。 目指すは竜王の島。海路だと、北アレフガルドの東にある海峡を西に進めば行けるのだが、島近辺の海流が複雑なため、か…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・60

ロラン達も用意された衣装に着替え、宴の場の一段高い所に座らされていた。 ロランは、青と銀を基調とした上着に白いシャツを着、肩で留めるマントを着けている。 ランドは緑と金を主にした膝丈のコートで、ロランより長い髪を留めるために、金の頭環(サー…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・59

「王様は休暇中だって。ものは言いようだわね」 ルナが厳しい目つきでつぶやく。ロランは、怒りこそ湧かなかったものの、同じ王族として情けない気持ちになった。自分の父は、少ない国費を裂いて国民を守ろうと努力しているというのに。「お城の図書室はどこ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・58

【勇者達の帰還】 世界の北西に、大地の精霊ルビスに祝福された地がある。 その名はアレフガルド。四つの島が複雑な地形を織りなしながら、正しく正方形に収まっている不思議な土地だ。 大地の精霊ルビスは、この世界を創造した存在だ。世界が始まった時、人…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・57

エレーネの立てた予定通り、ロラン達の船は3日目にルプガナ港へ帰港した。 迎えたルートンは無事を喜び、ロラン達は彼とともに宝を持ってマーフィーの仮の宿へ向かった。 財産が丸ごと戻ってきて、マーフィーは飛び跳ねて喜んだ。ロラン達が帰るまで、港に…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・56

ロランは水を蹴って潜っていった。素潜りもロランは得意だった。泳いでいると、少しだけローレシアが懐かしくなる。 夏になると近海で必ず泳いでいた。ランドやルナと会えない寂しさを、体を動かすことでまぎらわせていたのだ。ふいに甦ったせつなさを、水の…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・55

港の船はどれも帆船だが、風のない港湾でも自走していた。船尾に魔法力を注いで動く機関が付いており、螺旋状の推進器を動かして進む。 帆を畳んでいても、ゆるい速度ながら自由に走れるので、人が漕がなくても小回りが利き、岸壁に接岸できるのが利点だ。 …

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・54

【沈んだ財宝はいずこ】 ロラン達も同席していることにマーフィーは少しためらったが、テーブルでエレーネに温かいお茶をもらって落ち着くと、少しずつ話し始めた。「ペルポイへ向かう途中、急に嵐が来たんです。ここから北の沖でした。船は横波に転覆して沈…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・53

「エレーネはこの秋に結婚を控えておりましてな。魔物が町に入り込むなど滅多になかったので、本当に今回のことは奇跡でした。皆さんが通りがかってくれなかったら、今頃は……」「ええ……」 エレーネもうなずく。あらためて感謝をこめ、頭を下げた。「本当に助…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・52

心に何とも言えないひっかき傷を残され、3人がとぼとぼと帰り道を探していると、娘の悲鳴が聞こえてきた。ぼんやりしていた気持ちが、一気に戦闘のそれに切り替わる。「――やめてください! 私、おじいちゃんの所に帰らなきゃ……放してっ!」 とまどう声に、…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・51

「おっと」「あっ、ごめんなさい」 はしゃぎすぎて気づくのが遅れ、ルナは誰かと肩がぶつかった。軽く頭を下げかけたが、相手はルナを見てにんまりする。筋肉ではちきれそうな青い横縞の半袖シャツに革のズボン。どうやら船の乗組員のようだ。ひどく酔ってい…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・50

【機港都市ルプガナ】 ドラゴンの角北の塔からいったん北上し、東へ。ロラン達はついにルプガナの町へ到着した。「ここがルプガナか……。こんなに大きな町だったのか」「ねえねえ、見たことのない設備があるよ!」 町の入り口にたどり着いた時は日も西に傾い…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・22

「ラリホーアントに、鎧ムカデ?!」 ランドはたじろぎ、後じさった。なまじ知識があるだけに、その恐ろしさも知っているからだろう。薄紅色の巨大アリが数匹と、血の色の外殻を持った巨大ムカデが魔術師の周りを固める。半ば立ち上がったムカデの大きさは、…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・21

岩山の峡谷を抜けて一日半歩くと、広大な草原が広がった。遠くには山脈が青く見える。そのふもとに、目指す湖はあった。「広いなあ……」 ロランは、ほうっと息をついて眺めた。幼いころ一度訪れたが、その記憶と変わらず湖は広々としていた。午後のけだるい日…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・20

さかんに舌を鳴らし、キングコブラの一匹がロランに飛びかかった。ロランはその頭へ向かって銅の剣を振りかざした。その瞬間、ふっと全身が空白になる感覚があった。(いける!) 空白になった全身に、瞬時に満たされるのは、あふれんばかりの自信と力だ。ロ…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・19

サマルトリア城下町で多めに保存食や道具類を買うと、ロランとランドはサマルトリア王にあいさつに行った。王はランドとの合流をとても喜び、これからの旅も頑張れと励ましてくれた。 ランドの妹アリシアは、ランドが部屋に来るなり、自分も連れていってほし…

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・18

ランドの言うところによると、ロランを捜してローレシア王に会ったあと、歩いてサマルトリア城へ向かったという。だが道のりで疲れ果て、リリザで宿を取ったのだ。 勇者の泉の洞窟からキメラの翼を使ってローレシアに向かった分で、道具は尽きていた。キメラ…